薬膳とは
薬膳とは薬食同源の考えに基づき、季節と体質にあわせて、未病を治すことを目的とする。
平成9年版厚生省白書
未病概念について
未病とは字句のままでは、「まだ病まない」ことである。
現代医学→二次元の健康観
(健康と疾病の二律背反と捉える健康か病気か二つの独立した概念)
中国医学→一元的健康観
(健康と病気の間には連続性がある)
「未病」とは、「病気に向かう状態」
季節と体質に合った食物を食べる
天人同一、身土不二の考え方
春の薬膳その1
自然界の風が強く、天候不安定
花粉症とインフルエンザ対策が必要
風邪を取り除く食物を摂取。
風寒タイプ:ねぎ、生姜、紫蘇、らっきょう、のびる
風熱タイプ:ミント、くず粉、ごぼう、桑の葉、れんぎょう、たんぽぽ
春の薬膳その2
入学、入社、転勤、引っ越しなどの転換期は
ストレスが溜まり易い。ストレスから肝臓を守る食物を摂取。
気の流れをめぐらせる食物:
ミント、カモミール、紫蘇、柑橘類皮、春菊、三つ葉、木の芽
ウコン、ジャスミン、百合花、芍薬花、バラなど香る食物。
交感神経の高ぶりを鎮静する食物
苦味の山菜、山百合、くちなしの実、緑茶、酸味の果物など。
肝を滋養する食物
貝類、ごまなどの種実類、ベリー類、青み魚、レバー、ほうれん草、人参、くこの
実など。
梅雨の薬膳その1
自然界の湿気が強くて、浮腫み対策が必要。
水分代謝をよくして、利尿作用の食物
はと 麦、とうもろこしの鬚、瓜類、貝類、白身魚、生姜紫蘇、朴葉、あずきなど。
梅雨の薬膳その2
胃腸の調子が壊れやすいため、湿気から胃腸を守ることが必要。
(健脾)消化吸収機能を促進する食物
黄色食物の味噌、とうもろこし、南瓜、豆類、柑橘類
麹、納豆、雑穀、酒糟。
夏の薬膳その1
陽気が盛んになる夏は暑熱と湿気で体力と水分の消耗は激しく、熱射病、夏ばて
になりがち、暑熱を解消する対策を取る
清熱の食物(体を冷やし、湿気と熱を出すもの)
苦瓜、きゅうり、冬瓜、西瓜、なす、トマト、せり、セロリ、ミント、麦、緑豆、
笹の葉、海藻類、山百合、馬肉、うずら卵、くちなしの実、緑茶、ウーロン茶、青汁。
夏の薬膳その2
暑熱が原因で精神活動を調節する心(こころ)に与える滋養が不十分になり、動
悸、不眠がなりがち、養心安神の対策を取る。
養心安神(こころを滋養し、精神安定、快眠を保つ)食物
なつめ、ライチ、ベリー類、桑の実、くこの実、蓮の実、蓮根、赤い果実。梅雨の薬膳
梅雨の薬膳その1自然界の湿気が強くて、浮腫み対策が必要。
水分代謝をよくして、利尿作用の食物
はと 麦、とうもろこしの鬚、瓜類、貝類、白身魚、生姜紫蘇、朴葉、あずきなど。
秋の薬膳
- 自然界は乾燥の空気が流れ、呼吸気道と美容にダメージを与える。
- 体液を潤し、乾燥から呼吸気道と肌を守る
梨など甘酸の果物、水分の多い野菜、白木耳、百合根、杏仁、天草、エリンギ、えのき、山芋等。 - 乾燥による呼吸気道のトラブルを改善する。
大根、かぶ、白菜、はと麦、バナナ、杏子、かりん、ぎんなんなど。
冬の薬膳
温熱性の食物
自然界の冷たい空気が流れて、冷え予防が必要。
香辛料、香味野菜、パプリカ、シナモン、紅茶
ヨモギ、紅花、ハイビスカス、青み魚、もち米、黒米、酒、コーヒー、酢。
補腎の食物:黒色、海の旨味の食物
冬眠の時期に滋養強壮が必要。
なまこ、スッポン、牡蠣、かに、えび、海藻、にら、海老、やまいも、くこの実、
桑の実、葡萄などのベリー類、黒豆、ごま、クリ、胡桃など。
体質に合わせる薬膳
体は気、血、水によって作られている。
気 – 生理機能。元気、気力など目に見えない物質。
血 – 血管内に流れる栄養素を含む赤い液体。
水 – 津液ともいう。体内にあらゆる体液、体を潤すもの。
気血水が過不足なく、全身にめぐりあえる状態を健康体という。
気虚体質の薬膳
- 疲れ易い
- 手足が冷たい
- 舌は淡白色、歯根苔
- 風邪が引きやすい、治りにくい
- 食が細い・下痢しやすい
- トイレが近い
- 汗がかきやすい
きのこ類、やまいも類、クリ、蓮の実、南瓜、発酵品。
気滞の薬膳
- 落ち込みやすい・欝気味なりやすい
- 情緒の変動で頭痛に悩まされる
- イライラし易い
- よくため息をする
- 胃腸がガスが溜まって、張りやすい
- 生理痛、乳腺が張る
- 便意があるのに出にくい。
- よく肩が凝る。
ハーブ、紫蘇、みょうが、春菊
三つ葉、ゆず、柑橘皮ウコン、ジャスミン茶、バラの花茶、芍薬。
血虚の薬膳
- 皮膚がカサカサし、艶がない
- 抜け毛、白髪が多い
- 目が疲れ易い、目がかすむ
- 舌と爪が白っぽい
- めまい、立ちくらむ
- こむらがえりがよくする
- 眠りが浅い
- 不安、ビクッとし易い
種実類、ベリー類、青み魚、赤黒色の肉類、イカ、牡蠣、レバー、ひじき、あわ、黒米.くこの実、桑の実、
なつめ.
血瘀の薬膳
- 顔や舌唇の色が青紫っぽい
- 顔にソバカスが多い
- 頭痛、夜間になると酷くなる
- 生理痛が重い、色が黒っぽい
- あざができやすい
- 胸が痛む
- 足の静脈怒張
青み魚、ハイビスカス、バラなどの赤色の花、にら、たまねぎ、納豆.酒.酢.
陰虚の薬膳(乾燥体質)
- 痩せて、ほてり、寝汗がよく出る
- 舌は赤い、白い苔が少ない
- のどが渇きやすい
- ドライアイ
- 乾燥便、便秘
- 尿が濃い、量が少ない.
- 肌がカサカサ皺が出やすい
貝類、種実類、ベリー類。
痰湿(水分停滞)の薬膳
- 肥満、むくみやすい
- にきび、脂性肌
- 頭が重い、ボーッとする、昼間でも眠い
- 痰がよく出る
- 便が柔らかい、よく下痢する.
- 舌苔が厚くて、唾液の粘度が高い.
- 中性脂肪やコレステロール値が高い.